猫の室内飼育、室外飼育のメリット・デメリットを比較
近年は猫ブームもあり猫を飼う人が増えています。
猫の飼育頭数は犬のように登録制度がないこと、係留義務がなく室内飼育・室外飼育が混在していること、飼い主のいない猫との識別が困難なこと、複数飼育が多いこと等から実数の把握が難しいのが現状です。
そのような理由から飼育頭数を把握するのが難しい猫ですが、一般社団法人ペットフード協会の発表では2022年(令和4年) は猫の飼育頭数は883万頭だそうです。
猫を自由に飼育したいとの考えから放し飼いをする飼い主も多くいます。飼育方法は個人の自由であり、また係留義務もないため室内飼育?室外飼育?のどちらがよいかは判断が分かれるところです。
そこで、本記事では、それぞれのメリット・デメリットをまとめることで、どちらがより適しているかを考察してみたいと思います。
ぜひ最後まで読んでいただき参考にしてください。
1.室内飼育のメリット・デメリット
室内飼育とは、猫を家の中だけで飼育する方法のことをいいます。
室内飼育のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
2.室内飼育のメリット
2.1.交通事故や病気などの危険から守ることができる
猫の室内飼育のメリットとして、交通事故や病気などの危険から守ることができることが挙げられます。実は、猫の死因で最も多いのが交通事故なのです。室内飼育であれば、猫が外に出ることがないため、交通事故に遭うリスクを大幅に減らすことができます。
また、他の猫との喧嘩で怪我をしたり、感染症に罹ったりするリスクがあります。猫エイズ、猫白血病、ノミ・ダニ、回虫、トキソプラズマなどの病気から愛猫を守ることができます。
一般社団法人ペットフード協会の発表では、「家の外に出ない」猫の平均寿命 は16.22歳、「家の外に出る」猫の平均寿命は13.75歳と寿命に大きな差がありました。
2.2.ペットフードやおもちゃなどの管理がしやすい
室内飼育では、ペットフードを適切な量だけ与えることができます。猫が外にでる場合は、小動物や昆虫などの餌を探して食べてしまう可能性があるため、適切な量のペットフードの管理が難しくなります。
また、寄生虫や病原菌の感染リスクを減らすこともできます。おもちゃについても外に持ち出すことがないため、無くすリスクを減らせます。
2.3.室内環境を整えれば、猫がストレスを感じにくい
猫は自分がいる周辺環境の変化にとても敏感で、変化があるとストレスを感じ、体調不良になる場合があります。ストレスを感じ続けていると、問題行動が起こる可能性があります。
猫は元来とても好奇心旺盛で、上下運動を好む動物です。そのため、猫がストレスを感じにくい環境を整えることが大切です。猫は1日15~20分程度の運動が必要です。キャットタワーやキャットウォーク、おもちゃなどを用意して、猫が自由に運動できるようにしましょう。
また、猫は不安を感じると隠れられる場所を探します。段ボール箱や紙袋、ベッドの下などの隠れられる場所があると、猫は安心して過ごすことができます。
さらに、猫は体温調節が苦手なため、室温は20~26℃程度、湿度は50~60%程度の快適な環境を用意してあげましょう。
3.室内飼育のデメリット
3.1.猫の運動量が不足する可能性がある
室内飼育の場合、行動範囲も限れるため運動不足になりがちです。運動不足は肥満の原因にもなり、免疫力の低下により病気にかかりやすくなります。
また運動不足はストレスにもなりますので、適度に運動できるよう飼い主が遊んであげることが大切です。また可能であればキャットタワーやキャットウォークなどを設置して行動範囲を広げてあげるなどの工夫ができると良いでしょう。
3.2.猫が退屈して問題行動を起こす可能性がある
室内飼育で十分な運動や刺激を与えられないと、退屈を感じて問題行動を起こす可能性があります。
具体的な問題行動としては、以下のようなものが挙げられます。
・家具や壁などに爪を研ぐ
・家具やカーテンを噛む
・いたずらをする
・鳴き声を出す
・トイレの外で排泄する
これらの問題行動は、猫がストレスや退屈を感じているサインです。飼い主は猫の様子をよく観察して、問題行動の原因を探ることが大切です。
3.3.猫の体臭や抜け毛が気になる可能性がある
猫は、体臭や抜け毛が多い動物です。そのため、室内飼育の場合は、体臭や抜け毛が気になる可能性があることを理解しておくことが大切です。猫の体臭は、一般的に犬よりも少ないと言われています。
しかし、猫の体臭は、食事や排泄物、皮膚の状態などの影響で変化することがあります。また、猫特有のツンとするおしっこの臭いが、壁や床、家具などについてしまう可能性があります。
4.室外飼育のメリット・デメリット
室外飼育とは、猫を家の中や外で、自由に放し飼いにする方法のことをいいます。
室外飼育のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
5.室外飼育のメリット
5.1.猫が自由に外に出られる
猫は自由に外に出ることができ、自分のペースで遊んだり、縄張りを探したりすることができます。猫は1日15~20分程度の運動が必要と言われており、室外飼育では、猫は自由に屋外を探索して運動することができます。
また、猫は、本来、狩猟や縄張り意識などの自然な行動をとる動物です。室内飼育では、これらの行動を制限されてしまう可能性がありますが、室外飼育であれば、猫は自由に屋外を探索して、自然な行動をとることができます。
5.2猫の運動量を自然に確保できる
室外には、猫にとって魅力的なものに溢れています。草むらや木々、鳥や昆虫など、猫はこれらのものに興味を持ち、追いかけたり、登ったりして遊びます。
また、縄張りを巡回したり、他の猫と遊んだりすることでも運動することができます。このように、室外飼育であれば、猫は自然と運動量を増やすことができます。
5.3.猫がストレスを感じにくい可能性がある
室内飼育では、猫が飼い主のスケジュールに合わせて生活することになります。そのため、本来の伸び伸びとした行動ができないためストレスを感じる場合があります。しかし、室外飼育であれば、猫は自由に屋外を探索して、刺激を受けることができます。新しい環境や生き物に触れることで、猫の好奇心や探求心を満たし、ストレスを軽減することができます。
6.室外飼育のデメリット
6.1.交通事故や病気などの危険にさらされる可能性がある
室外飼育の猫は、交通量の多い道路や、車やバイクが頻繁に通る場所で遊んだり、狩りをしたりすることがあります。
そのため、交通事故に遭うリスクが高くなります。また、他の猫や動物、虫などと接触する機会が多いため、感染症や寄生虫に感染するリスクが高くなります。
6.2.猫が野良猫と交配して繁殖する可能性がある
猫は繁殖力が強く、1回の出産で4~8匹の子猫を産みます。また、猫は生後8か月程度で性成熟を迎えるため、早いうちから繁殖する可能性があります。
室外飼育の猫が野良猫と交配すると、新たな野良猫が増えることになります。野良猫は、交通事故や病気、飢餓などの危険にさらされており、寿命も短いと言われています。また、野良猫の糞尿や鳴き声が近隣住民の迷惑になることもあります。
猫が野良猫と交配して繁殖しないようにするには、避妊や去勢手術を行うことが効果的です。避妊や去勢手術を行うことで、猫の性ホルモンの分泌を抑制し、繁殖能力をなくすことができます。
また、首輪や迷子札をつけて、飼い主の連絡先を明記しておくことも大切です。万が一、猫が迷子になった場合、飼い主に連絡がつく可能性が高まります。
6.3.猫が近所迷惑になる可能性がある
貴方が猫好きだからといって、他の人も猫が好きとは限りません。特に猫は糞尿に特独の臭いがありますので、迷惑をかけることにもなりかねません。
また、車のボンネットなど暖かい場所で日向ぼっこをする際、車に傷をつけてしまうこともあるかもしれません。損害賠償を起こされる可能性があるほか、最悪の場合は、暴力などの虐待の被害に遭うことも考えられます。そうした被害を未然に防ぐことができます。
7.室内飼育と室外飼育はどちらがよいか
室内飼育と室外飼育のどちらがよいかは、飼い主のライフスタイルや環境、猫の性格などによって異なります。
室内飼育がよいと考えられるケース
・交通量が多い地域に住んでいる
・仕事や家事で忙しく、猫の外出に付き添えない
・猫の健康管理をしっかりしたい
室外飼育がよいと考えられるケース
・広い庭やベランダがある
・猫の外出を自由にさせたい
・猫が野外を好む性格である
法動物愛護法では「動物の習性、生態に合わせて飼育してください」となっているため、猫の放し飼いは認められています。ただ地方自治体によっては、屋外は交通事故、ウイルスや細菌などの感染症、猫同士のケンカなどの危険が多くあり、また、糞尿、鳴き声などが迷惑となって近隣トラブルに発展することもあるなどの理由から、猫の屋内飼育を勧める条例を定めている地域もあります。お住まいの地域で確認してみてください。
以下は環境省の室内飼育の案内です。
8.メリットとデメリットを良く理解しよう
室内飼育 ・室外飼育の可否は簡単には決められませんが、猫の習性をよく理解し、環境を整えてあげることが大切です。
また飼い主が話しかけたり、触ったり、遊んであげることで、ストレスを溜めにくくなります。猫と人間それぞれが楽しい猫ライフをおくれるようにしましょう。
飼い主が猫の安全と健康を守るために、それぞれのメリットとデメリットをよく理解した上で、最適な飼育方法を選択することが大切です。