愛煙家必見!たばこの煙はペットにも有害なのか、徹底解説
人間では、タバコの煙が健康に及ぼす影響は知れたところです。例えば、肺管支、呼吸器への影響があり、様々な疾患を患うリスクが高まります。肺がんは人間の死亡原因の第四位になっていることから愛煙家の皆様も気になるところではないでしょうか。
この記事にたどり着いたということは、おそらく皆さんは愛煙家であるか、近親者の中に愛煙家がいるか、そしてペット飼っている方だと思います。
今回はタバコの煙がペットにとってどのような影響があるのか、果たして人間同様に有害なのかどうかを解説して行きます。
1.人間のたばこと健康被害について
2021年の厚生労働省の人口動態統計(確定数)によると、人間の死因の第一位は、がん(悪性新生物)、第2位が心疾患、第三位が老衰となっています。
がんで亡くなった方は、年間382,000人にもおよび、そのがんの中でも、死亡数の第一位が肺がんです。男性では一位、女性では二位の原因になっています。(引用元:国立研究開発法人国立がん研究センター)
タバコの影響はがんだけではありません。心筋梗塞や脳梗塞、呼吸器疾患COPDを発症する可能性もあります。
COPDとは慢性閉塞性肺疾患のことで、タバコの煙に含まれる有害物質により、肺が炎症を起こし呼吸がしづらくなる病気です。重症化すると死に至る場合もあります。このCOPDの原因の約90%は喫煙です。
2.そもそもたばこの何が有害なのか
タバコの煙に含まれる化学物質の種類は4000種類以上あると言われておりそのうちの約200種類が有害物質ですその中でも特にニコチンタール一酸化炭素は三大有害物質とも言われています。以下でそれぞれどういう影響があるかを解説します。
ニコチン
タバコの葉に含まれる有害物質で強い依存性があります。ニコチンが分解代謝されることにより生み出される物質には発がん性があります。ニコチンには血管収縮作用があるため血液の流れが悪くなりますそのため動脈硬化や心筋梗塞狭心症などを心疾患のリスクが高まります。
タール
いわゆるタバコのヤニはタールのことを意味します。タールの中にはたくさんの有害物質がふくまれています。肺を黒くする原因です。
一酸化炭素
タバコを吸うと頭がくらっとする時がありますが、これは、一酸化炭素は血中のヘモグロビンと結びついて酸素を運搬する働きを邪魔しているからです。一酸化炭素による酸欠等ニコチンによる血管の収縮が原因でクラッとするのです。また動脈硬化を促進してするとも言われています。
その他発がん性の強いニトロソアミン類、ダイオキシン類、カドミウムなどの金属、ホルムアルデヒド、pm 2.5などが含まれています。
3.ペットも知らない間に煙を吸っています
煙草を吸わない方でも、受動喫煙ということば知っていると思います。
たばこの煙には、主流煙と副流煙があります。
「主流煙」とは、フィルターなどを通して、吸い口から喫煙者が吸い込む煙をいいます。「副流煙」とは、たばこの火がついた部分から立ち上る煙のことをいいます。ちなみに喫煙者が吸って吐き出した煙を「呼出煙」といいます。
受動喫煙とは、自分がタバコを吸い、煙を発生させるのではなく、他人のタバコの煙にさらされてしまうこと、つまり受け身の喫煙です。煙に含まれる発がん性物質などの有害物質は主流煙より副流煙に多く含まれるものがあり、受動喫煙は非常に問題になっています。
厚生労働省によれば副流煙に含まれる有害物質は主流煙よりもニコチンで2.8倍タオルで3.4倍一酸化炭素が4.7倍多くなります。例えばニコチンに関しては、単純計算で 7.31倍 と出ています。喫煙者が望んで吸っている主流煙よりも、周りに出ていく副流煙の方が、有害物質が多いと言えます。
平成11-12年度たばこ煙の成分分析について(概要)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
ペットと暮らす生活空間の中に喫煙者がいる場合、ペットも日常的に、副流煙・呼出煙などの合わさった「環境たばこ煙」を吸い込んでいると考えられます。
4.さらに三次喫煙もあります!
喫煙者の衣服、壁紙やソファ、カーペット、カーテンなどの表面に付着したたばこの煙が汚染源になり、被害をもたらすことを三次喫煙といい、さらなる健康被害が発生すると考えられています。
部屋で過ごす時間が長い室内犬や外に出ない室内飼育の猫などでは、たばこの煙にさらされたカーペットの上に寝たり、おもちゃを噛んだりすることで、この三次喫煙による影響が懸念されています。
5.ペットにどのような影響がでるのか
においを受け取る場所のことを嗅上皮といい、犬は人間と比較して、その面積が広く、細胞の数も多いため、人より敏感ににおいを嗅ぎ取ることができます。犬はこの嗅上皮が人間の60倍もあるため、有害物質が吸着しやすいといわれています。
ダックスフンドやコリーのように鼻の長い犬種、いわゆる長頭種は、発がん物質にさらされる鼻の面積が広いため、鼻腔がんや副鼻腔がんにかかることが多く、一方で鼻の短い短頭種であるブルドッグやパグなどは、発がん物質がすぐに肺に到達するため、肺がんに罹患することが多いと報告されています。
6.愛煙家の飼い主がペットのためにできること
① 禁煙する
ここまでワンちゃんに関する健康被害を見てきましたがもちろん飼い主様自身の健康にも大きく影響します。ご自身の健康を保つためにも禁煙にチャレンジしてみることをお勧めします。
② できるだけ分煙を
タバコを吸う場合はベランダなどの屋外で吸うか、それが難しい場合はペットのいない部屋で吸う。それもできない場合は換気扇の下で吸うなど、できる対策をしっかりと行いましょう。
③ こまめに掃除をする
先ほど説明した三次喫煙にもあった通り壁紙やカーテンカーペット、おもちゃにもタバコの有害物質は付着しています。こまめに掃除をすることで有害物質を取り除いてあげましょう。
④ 吸い殻はきちんと処理する
今回は、たばこから出る煙を吸った場合、つまり受動喫煙を中心にお話ししてきましたが、万が一たばこを食べた場合には、最悪死に至ることもあります。
たばこ1本に含まれているニコチンの量はおよそ10~20gで、人間の場合、成人ではタバコ3本、乳幼児では0.5本~1本で死に至ると言われています。
吸い殻はペットの手が届かないところに置くなど、きちんと処理をしましょう。
7.できることから実践しよう!
ここまで見てきたとおり、たばこは人間だけでなくペットにも悪影響があるようです。人間よりも体格の小さな犬や猫は、たばこの影響を強く受けるのも納得です。
禁煙することがベストな選択肢であることは言うまでもありませんが、なかなか難しいのも事実です。であるならば、せめて「飼い主がペットのためにできること」で紹介した内容は実践したいところです。
是非この機会に禁煙にチャレンジしてみてください。
余談ですが、5月31日は世界禁煙デーです。世界保健機関WHOが記念日制定した国際デーのひとつです。国際表記:World No-Tabacco Day
このような日をきっかけに、禁煙をしてみてはいかがでしょうか。