ペットの健康診断はいつするもの?定期的に行う必要性、頻度について解説
ペットの健康診断は、飼い主としての責任の一環として大切な行動です。定期的に健康診断を行うことで、ペットの健康状態を把握し、早期に病気や異常を発見することができます。ペットの寿命は人間に比べて短いため、健康診断の頻度は重要なのです。
この記事では、ペットの健康診断はいつすべきなのか、定期的に行う必要性や頻度、健康診断のメリットなどについてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
1.ペットの健康診断は必要?
結論から言うと、ペットの健康診断は必要です。健康診断を定期的に行うことで、ペットの健康状態を把握し、早期の問題や病気の発見が可能になります。
ペットは私たち人間のように痛みや不調を言葉で伝えることができません。そのため、飼い主はペットの健康状態を常に気にかけてあげる必要があるのです。定期的な健康診断は、ペットに病気の症状がなくても、隠れた病気や体調の変化を見逃さずにチェックすることができます。
例えば、数年ぶりに受診した健康診断で、貧血が判明したとします。これにより対症できることは良いことですが、では何年前から貧血だったのでしょうか?・・・
お気づきの通り、健康診断は毎年受けて、そのデータを蓄積することも大切です。毎年のデータを蓄積して、その経年の変化を見て病気が分かることもあるのです。今からでも遅くありません、毎年受けていない飼い主の方は、ぜひ毎年の受診をお願いしておきます。
健康診断は若いペットから高齢のペットまで全ての年齢層に必要です。特に高齢のペットは年齢による体の変化や病気のリスクが高まりますので、定期的な健康診断が欠かせません。高齢期の健康診断では、内臓の機能や関節の状態を確認し、老化による影響を最小限に抑えるための対策が可能になります。
また、予防接種も欠かせません。予防接種は感染症からペットを守り、深刻な病気を予防するために非常に重要です。特に狂犬病ワクチンは、厚生労働省が定める狂犬病予防法により、年1回のワクチン接種が義務付けられています。厚生労働省が発表している都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等で、令和3 年度(年度末現在)の接種率は70.9%でした。義務であるにもかかわらずです。
引用元:都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成26年度~令和3年度)
狂犬病はすべての哺乳類に感染することが知られており、もちろん人間にも感染する人獣共通感染症です。人間も動物も発症するとほぼ100%死亡します。日本国内では、人は昭和31年(1956年)から発生がありませんが、海外の多くの国では、いまだ狂犬病は多く発生しており、毎年死者が出ています。
とても大切なことですので、もう一度書きますが、狂犬病は人間にも感染します。発症したらほぼ100%死亡します。そして、狂犬病ワクチンを飼い犬に接種するのは飼い主の義務です。任意ではありません。当サイトの読者さまはもちろん飼い犬に接種していただいていると思いますが、日本で約30%の方が接種していないことも事実ですので、飼い犬に接種させていない方がいましたら、是非教えてあげてください。
詳しくは以下の狂犬病に関するQ&Aについてをご覧ください。
引用元:狂犬病に関するQ&Aについて
話が少し逸れましたが、このようにペットの健康診断は、ペットの寿命や健康を維持するために欠かせないものです。愛するペットの健康を守るために定期的な健康診断を受けることを強くオススメします。早期発見によって、ペットの病気や不調を未然に防ぎ、より長く幸せな生活を送ることができます。
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2.ペットの健康診断の内容は?
ペットの健康診断には、問診、身体検査、尿検査、便検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などが含まれます。私たち人間の健康診断と大きく変わらない内容が行われます。
問診では、飼い主さんからペットの様子や異変について詳細な情報を聞き取ります。検査を行う前に、獣医師がペットの現状を知ることで、どういったところを注目して検査すればいいのかという目安が立てられるようになります。
身体検査では、視診、触診、聴診、体温測定、体重測定を行い、全身の健康状態をチェックします。尿検査では、尿を採取して腎臓や膀胱の病気、糖尿病、ホルモン疾患などの異常を検査します。
便検査では、寄生虫の有無、血便、腸内環境などを確認します。血液検査では、採血をして血液の成分を分析し、貧血や炎症の有無、肝臓や腎臓の機能、腫瘍の疑いなどを確認します。
レントゲン検査では、レントゲン写真を撮影して、骨や関節の異常、心臓や気管、肺、肝臓や腎臓などの臓器の位置や形、大きさなどを確認します。超音波検査(エコー)では、血液の流れ、腫瘍の有無や位置の特定、レントゲンに映らない膀胱や腎臓の結石などの発見に役立ちます。
これらの検査を組み合わせることにより、ペットの総合的な健康状態を評価し、早期発見・早期治療につなげることができます。定期的な健康診断は、ペットの健康を守るために欠かせないものであり、年齢に応じた適切な検査項目を行うことが重要です。獣医師の指導のもと、定期的な健康診断を受けることで、ペットの健康状態を把握でき、健康で幸せなペットライフを送ることができます。
3.定期的な健康診断のメリットとは
ペットの健康診断は、ペットの健康管理をする上で非常に重要なものです。定期的な健康診断を行うことによって、病気や症状の早期発見が可能となり、早めの治療が行えます。
定期的な健康診断のメリットの一つは、ペットの健康状態を把握することができる点です。健康診断では、犬や猫の体温、体重、心音、呼吸音などがチェックされます。これによって、ペットの健康的な状態を確認することができるのです。
また、健康診断では病気や症状の早期発見が可能となります。一般的に、ペットの病気は早期に発見することが重要です。早期発見によって、病気が進行する前に治療を開始することができるため、比較的短期間で完治することができたり、重症化することを防げたりするメリットがあります。
さらに、定期的な健康診断は予防医学の観点からも非常に有効です。例えば、ノミやダニの予防や予防接種なども定期的な健康診断の一環として行われます。これによって、ペットを外部の病原体から守ることができます。
ペットの辛い様子は見たくありませんよね。定期的な健康診断はペットとの生活には必ず必要なものなのです。
4.健康診断の頻度は?
ペットの健康診断の頻度については、年に1回は受けることが推奨されています。しかし、ペットの状態や年齢、種類によっても頻度は異なる場合があります。高齢のペットや持病を抱えているペットは、より頻繁に健康診断を受ける必要があります。
例えば犬であれば、6歳までは年に1回でいいですが、6歳を超えるシニア期では年2回は受けた方がいいと言われています。11歳を超えたら年3回のように、年齢に応じて健康診断の回数を見直していきましょう。
定期的な健康診断はペットの健康を守るために欠かせません。ペットを飼っている方やこれから飼うことを検討している方は、健康診断の重要性を理解し、適切な頻度でペットの健康診断を行うようにしましょう。
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5.健康診断の費用はどのくらいかかる?
ペットの健康診断にかかる費用は、病院や受ける検査項目数に応じて変わりますが、大体5,000円〜3万円程度です。
公益財団法人 日本獣医師会が調査している家庭飼育動物(犬・猫)の 診療料金実態調査及び飼育者意識調査 調査結果によると、健康診断の1日ドックでは、7,500円~12,500円の範囲で提供している病院が多いようです。中央値は14,021円でした。
引用元:家庭飼育動物(犬・猫)の 診療料金実態調査及び飼育者意識調査 調査結果
ペットの状況を獣医師の先生に伝え、必要な検査項目をあらかじめ確認しておくことで、検査費用の見通しも立てることができます。
また検査によっては、「食事を取らずに来てください」と指示されることもあるため、健康診断を受ける前に、各検査の注意事項も確認しておくことが重要です。
6.潜在的な病気や健康問題を早期発見できます
ペットの健康診断は、定期的に行うことが重要です。ペットは家族の一員であり、飼い主には、健康を管理するという責任があります。定期的な健康診断を行うことで、ペットの健康を保ってあげられるようにしましょう。
ペットの健康診断には、潜在的な病気や健康問題を早期に発見できるというメリットがあります。犬や猫は自分の健康問題を表現することができず、症状が具体的に表れるまで気づかないこともあります。
しかし、定期的な診断を受けることで、病気や健康問題を早期に発見できます。早期発見により、治療効果を高めることができ、ペットの健康状態を良好に保つことができます。一年に1回以上は健康診断を受けるようにしましょう。飼い主の皆様も健康に気を付けていただき、ペットライフがより健康で楽しいものになりますように。