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【獣医師監修】もふもふ!グレートピレニーズってどんな犬?性格や病気など

目次

1.レートピレニーズとは

山にいる羊

1.1.歴史と起源

グレートピレニーズは、ヨーロッパのピレネー山脈発祥の大型犬です。歴史は古く、祖先は紀元前3000年以前から存在していたとされています。羊飼いを助けるために羊の群れをオオカミやクマから守ることを仕事としていた犬種です。

 

1.2.特徴と性格

白く長い毛をもった大型犬です。もふもふの見た目と優しく穏やかな表情が魅力的です。

成犬になると体高は65〜81cm、体重は50〜60kgほどになります。後ろ足で立ち上がると成人男性の身長と同じくらいの大きさとなり、とても迫力があります。

毛の生え方は、密生した下毛(アンダーコート)と長い剛毛の上毛(オーバーコート)の2種類の毛が生えるダブルコートというタイプです。ダブルコートは抜け毛が多いという特徴があり、グレートピレニーズは大型犬の中でもトップクラスで抜け毛が多い犬種です。毎日のブラッシングが必要で、お部屋の掃除も大変であることは知っておくと良いでしょう。

平均寿命は8~12歳くらいです。少し短く感じるかもしれませんが、大型犬は小型犬と比べると寿命が短い傾向にあるため、大型犬としては平均的な数値です。

性格は穏やかで飼い主には従順ですが、元々は牧羊犬であったため、警戒心が強い一面があります。

 

2.飼う前に考慮しておきたい事項

2.2.適切な住環境はどう準備する?

体が大きいため飼育するには十分な広さが必要です。
もともと雪山で働いていた牧羊犬で、長く豊富な毛をもっているため、寒さに強く暑さに弱い犬種です。日本の気候で一年中ずっと屋外飼育をするのは難しく、暑い時期は冷房の効いた屋内で飼育する必要があります。

 

2.3.費用はどのくらいかかるの?

ブリーダーやペットショップからお迎えする場合、生体購入費(子犬)は20~30万ほどです。
ケージ、首輪、リード、食器、トイレなど必要な飼育グッズをひととおり揃えると5万円くらいはかかります。

食事量が多いため餌代で月2万円ほどかかります。その他の生活用品や予防医療などで必要となるお金を合わせると飼育費用は年間30万円程度です。

必要に応じてトリミング代や医療費も発生します。病気で入院や手術をすると1度に10万円以上かかることもあります。

 

3.グレートピレニーズの飼育

ドッグフード

3.1.食事と栄養、食べる量

食事は総合栄養食を選びましょう。
総合栄養食は、この餌と水を与えるだけで必要な栄養バランスを満たし、健康を保つことできるように設計されたドッグフードです。
より質の良い食事を与えたいなら、

① 動物性たんぱく質が豊富
② 低脂質で栄養バランスが良い
③ 骨・関節軟骨成分が含まれている ものが良いでしょう。

大型犬のグレートピレニーズは食事量も多くなります。適正量はフードによって変わりますので商品ごとにパーケージを確認する必要がありますが、1日量は500g程度です。

 

3.2.運動やエクササイズ

グレートピレニーズは運動量が必要な犬種です。
日常的な運動は飼い主との散歩で十分ですが、暑さが苦手です。気温が高くない時間帯を選びつつ、運動量を確保できるように配慮する必要があります。

涼しい季節にはしっかりと運動をさせてあげましょう。寒さには強く、雪の中でもへっちゃらで、はしゃいで遊びます。一緒におでかけして、たくさん遊ばせてあげると運動しながらストレスも解消できます。

 

4.気になる健康と医療

4.1.心配な病気、気をつけたい病気

大型犬特有の病気に気を付けましょう。
特にグレートピレニーズに多い病気としては、「股関節形成不全」「骨肉種」「胃捻転」などがあります。

こうした病気を予防するために飼い方で注意すべきことがあります。

グレートピレニーズは、体が大きく体重が重いため、関節への負担が大きくなりやすい性質があります。ジャンプなどの過度な運動をさせないこと、フローリングなどの滑りやすい床材を避けることが股関節形成不全の予防に効果的です。

胃捻転は、胃がねじれ急激に全身状態が悪化する病気です。大型犬に多く、発症の要因は「早食い」や「食後すぐの運動」とされています。早食い防止の食器を使い、散歩は食事から時間を空けることで胃捻転を起こさないように気を付けましょう。

暑さに弱いため熱中症にも注意が必要です。真冬以外は暑がっていないか気を配り、クーラーなどで気温を調節してあげましょう。

 

4.2.ワクチンと予防医療

日本では飼い犬に毎年、「狂犬病ワクチン」を接種させる必要があります。これは狂犬病予防法という法律で定められた飼い主の義務です。

その他にも、危険な感染症を予防するため「混合ワクチン」の接種も必要です。混合ワクチンには5種ワクチンや8種ワクチンなど種類があります。住んでいる地域や行動範囲によって何種のワクチンを打つのか選択します。混合ワクチンの接種頻度は基本的に年に1回です。

ワクチン以外にも、犬の予防医療として重要なのが、「フィラリア予防」と「ノミダニ予防」です。フィラリアは犬の心臓に寄生する寄生虫で蚊が媒介します。

感染すると命にかかわる病気のため予防がとても大切です。フィラリアの予防シーズンは蚊が出現する時期に合わせた4~12月頃です。基本的にシーズンの初めに血液検査でフィラリアに感染していないことを確認してから、毎月予防薬を飲ませます。フィラリア予防薬は体内に入ったフィラリアの子虫を成虫になる前に駆除する薬です。フィラリアに感染した犬に予防薬を投与すると、血液中のフィラリアが死んで血管に詰まってしまい大変危険なため、毎年投薬前に検査を受ける必要があります。

フィラリアとノミダニの予防薬には錠剤タイプ、おやつタイプ、皮膚に垂らすタイプ、注射薬など様々なタイプがあります。動物病院で相談しながら決めると良いですよ。

 

4.3.大型犬が動けなくなったらどうする?

大型犬を飼う場合、問題になるのが、高齢になり動けなくなったときの介護です。

50kg以上の犬を持ち上げるのは重労働で、女性が1人で持ち上げるのはとても大変です。動物病院への通院もより大変になります。車で連れていく場合も、車の乗り降りだけで大仕事です。先のことまで考えると、往診対応の出来るかかりつけ医を見つけておくと安心です。

老いは必ずやってきます。平均寿命まで生きても10年でシニアになります。お家で介護するのか、犬の介護施設を利用するのか、対応を考えておく必要があります。

 

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5.グレートピレニーズと家族

5.1.飼い主との絆

信頼関係を築いた飼い主には従順でとても優しい性格です。
小さいころからしつけをし、日頃から愛情を持って接してください。飼い主との絆を築くことができれば素晴らしいパートナーになってくれます。

5.2.子供や他のペットとの相性

家族には深い愛情を示します。子どもにも優しく、一緒に生活することが可能です。同居する猫など他の動物にも友好的であることが多いため、子供や他のペットとの相性は良い犬種と言えるでしょう。

5.3.知らない人とのコミュニケーション

家族には従順ですが、縄張り意識が強く、見知らぬ人には警戒心を強く示すことがあります。

知らない人や動物に飛びかかってしまうという事故も起こりえますので、子犬の頃からきちんとしつけをし、家族以外の人間や他の動物の存在に慣れさることが重要です。

 

6.グレートピレニーズのしつけ

グレートピレニーズは、基本的に飼い主に忠実で、適切な訓練やしつけをすれば飼いやすいと言えます。

しかし、人の目の届かない広い山で牧羊犬として働いていた犬種のため、自分の判断で行動する性質があります。しっかりとしつけをして、飼い主がリーダーであることを理解させなければ、指示に従わなくなることがあります。しつけは犬にとっても人間にとっても、お互いに心地よく過ごすために必要です。小さい頃からしつけをして、信頼関係を作るように心がけましょう。

特に大型犬は人間の力で押さえつけるのが難しいため、犬同士の喧嘩や人間に飛びかかってしまうなどのトラブルを起こさないよう、飼い主が責任をもってしつける必要があります。

 

6.1.子犬期の基本的なしつけ

グレートピレニーズのような大型犬は大人になるまでに2年かかります。
子犬のときから時間をかけてしつけを行なっていきましょう。

自分の名前を覚える、体に触られることに慣れると言った基礎的なことから始めて、「待て」「お座り」「伏せ」などの基本のしつけから覚えさせていきましょう。

その他のしつけとして、名前や「おいで」と言ったときに飼い主の元へ戻ってくること(呼び戻し)、噛んではいけないものを覚えること、飼い主のペースに合わせて歩くこと(リーダーウォーク)などが必要です。

しつけのコツは、指示となる言葉を発しながらその行動を取るように誘導し、成功したら褒める、を繰り返すことです。成功した直後にしっかりと分かりやすく褒めてあげることが大切です。

 

6.2.社会化

犬は生涯社会化を続けますが、特に生後3週間~3ヵ月頃は外からの刺激を受けて社会に適応することを学ぶ大切な時期であり、「社会化期」と呼ばれます。

社会化期に、母や兄弟と触れ合うことで犬同士のコミュニケーションを学び、人間社会のルールも覚えることができます。適切なコミュニケーションやしつけを経験せず社会化期を過ぎると、警戒心や自我が育ち始めて問題行動が増えていきます。犬の社会科には時期が重要であることを知っておきましょう。

 

6.3.問題行動の対処

「噛み癖」や「飛びつき」などの問題行動は、事故や怪我の原因となります。

問題行動を起こしたときは、行動の直後の対応が大切です。時間が経ってから叱っても、犬は何に対して叱られているのか理解できず、効果がないばかりか信頼関係を損ねてしまいます。問題行動を起こしたらすぐに叱って、行動を止めたらすかさず褒めると効果的です。

 

7.グレートピレニーズとの楽しみ方

7.1.アウトドアアクティビティ

適切なしつけや予防接種をしていれば、愛犬とともにハイキングやキャンプなどのアウトドアアクティビティを一緒に楽しむことができます。

犬は自然の中を走ったり、匂いを嗅いだりすることによってストレス解消になり、足腰が鍛えられて筋肉の強化につながります。自然の中で飼い主と様々な経験を共にすることで信頼関係が深まり、心身共に健やかに過ごすことができます。

グレートピレニーズは雪山出身なだけあって、雪の中でも喜んで遊びます。いろいろな場所に連れて行ってあげると良いです。

 

7.2.室内での遊び方

グレートピレニーズは暑さに弱いため、夏は外で長時間遊ぶことができません。

季節や天候に左右されず、愛犬のストレス解消や運動量の確保できるように、室内での遊びも取り入ると良いでしょう。頭を使う、コミュニケーションを深められるなど、室内遊びならではのメリットもあります。

犬用のおもちゃのロープで引っ張りっこ遊び、おやつや使った宝探しなど、室内でもできる遊びはたくさんあります。犬用の知育おもちゃも豊富ですので、愛犬が飽きないように色々試してみると良いでしょう。

室内遊びの注意点として、おやつの与え過ぎは肥満につながるので気を付けましょう。室内は外よりも安全面に気を付ける必要があります。十分な広さが確保できる場所を選びましょう。

お家で遊ぶ場合は、フローリングが足腰を痛める原因になります。グレートピレニーズは特に関節を痛めやすい犬種ですので、カーペットやマットを敷いて負担を軽減する対策を欠かさないでくださいね。

 

7.3.コミュニティやイベントへの参加

グレートピレニーズは日本での飼育数は多くありません。
身近に相談相手がいなくて困ることもあるかもしれませんね。

そんなときは、大型犬や特定犬種の飼い主が集まるコミュニティやイベントに参加するという方法があります。ネットやSNSを活用すれば、すぐにつながることができます。

 

8.素晴らしいパートナーとなる魅力的な犬種

グレートピレニーズは、大型犬らしくもふもふの愛らしい見た目で、一度は飼ってみたいと憧れる犬種です。

しかし、初心者向けとは言えませんので、最後まで責任を持って飼えるかしっかりと考える必要があります。しっかりとしたしつけや訓練が必要で、飼い続けるためには、それなりにお金がかかり、大型犬ならではの介護の問題も起こります。

少し大変な面もありますが、グレートピレニーズは素晴らしいパートナーとなる魅力的な犬種です。共に人生を歩ことができれば、きっとより人生が豊かなものとなるでしょう。