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犬の祖先はオオカミなのか?私たちの愛犬が歩んだ進化の道

犬の先祖がオオカミだと聞いたことがあるいう方は多いと思います。

たしかに柴犬などの日本犬は、姿形はよく似ていますし、シベリアンハスキーなどは遠吠えをすることからも、先祖がオオカミだと考えられていても不思議ではありませんよね。

そこで今回は、犬の先祖が本当にオオカミなのか、その進化の歴史とルーツを探ってみたいと思います。

 

1.犬の祖先はオオカミなの?

1.1 犬の祖先は何なのかは諸説ある?

犬の先祖については諸説あります。
・犬はオオカミの直系の子孫であるという説
・ジャッカルやコヨーテなどと交雑して誕生した説
・オーストラリアやニューギニアに生息するディンゴを祖先とする説

などの説が唱えられています。
その中でも「犬の先祖はオオカミである」、という説が最も有力とされています。
では、オオカミの先祖はどのような動物だったのでしょうか。

1.2.ミアキスからオオカミへ進化

オオカミの祖先は『ミアキス』と呼ばれている動物で、イタチのような姿をしていたそうです。

今から約6,500万年前~4,800万年前にかけて、主にヨーロッパ大陸などの森に 「ミアキス」(Miacis)という小型の動物が生息していました。

体長は30cm程度で、長くほっそりした胴、長い尾、短い脚を持っており、イタチのような姿をしていたと考えられえています。ミアキスは身体構造から、犬と猫の共通祖先であると考えられており、後に森から出て草原へ移動したものが犬の祖先となり、森に残ったミアキスが猫の祖先になったとされています。

草原は見晴らしがよく、隠れる場所や逃げる場所も少ない為に、集団で行動したほうが好都合でした。共同で獲物を追いつめて狩りをする方が効率的であり、また、襲われても反撃しやすかったからです。

集団で行動していたがために、その群れを統率するリーダーが現れ、絶対的な主従関係が生まれました。

広い草原を走っているうちに、体つきは大きく、そして筋肉質になり、持久力やスピードを身につけ、獲物や天敵を威嚇するために、吠える声も大きくなりました。

 

一方で、ミアキスが持っていた猫のように出し入れできる爪は退化していきました。
こうして現在の犬へと進化を遂げていったのです。

現代の犬も狼爪(ろうそう)と呼ばれる、人間でいう親指があります。もともとは岩場などを歩くときに役立っていたのですが、現代では必要ないため退化しました。

シベリアンハスキーやグレートピレニーズなど、比較的オオカミに近い犬種に見られることが多いようです。 これもオオカミの名残だとされています。

 

2.犬の祖先はオオカミである

2.1.DNAの解析

犬の先祖はオオカミであると、近年の遺伝子研究により明らかになりました。ミトコンドリアDNAの解析から、犬のミトコンドリアDNAはオオカミのものと99.8%一致していることがわかっています。
ジャッカルやコヨーテとは少し離れていたこともわかりました。

 

2.2.古代の遺跡から犬の骨が発見?

最近では、奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡から3世紀前半ごろの犬の骨が発見されました。その他古代の遺跡から発掘された骨の中には犬のものと見られる骨がしばしば発見されており、詳しく調べるとオオカミのものと極めて近いことから、犬の祖先はオオカミと考えられていました。

 

3.犬とオオカミの類似点

犬とオオカミの類似点

3.1.犬とオオカミの類似点

犬とオオカミは、外見、行動、習性などにおいて多くの類似点を持っています。

外見
犬とオオカミは、体格や骨格、毛並みなどの形態が非常によく似ています。犬とオオカミは、体型や毛色、顔つきなど、多くの点で似ています。どちらも四肢が長く、体つきは引き締まっています。毛色は、黒、茶色、白など、さまざまな種類があります。顔つきは、オオカミの方がやや鋭く、犬の方が穏やかに見えます。

行動
犬とオオカミは、どちらも群れで生活し、狩りをします。また、どちらも遠吠えや尻尾を振るなどの行動をします。

習性
犬とオオカミは、どちらも人間との共存に適した習性を持っています。例えば、犬は人間の指示に従い、オオカミは人間の周囲で生活することに慣れています。

群れで活動するオオカミ

3.2.犬とオオカミの相違点

ただし、すべてが共通しているだけでなく、相違点もあります。

サイズ
犬はオオカミよりも小さい傾向があります。一般的に、犬の体長は50〜70cm、体重は10〜30kg程度です。一方、オオカミの体長は100〜160cm、体重は30〜60kg程度です。

社会性
犬はオオカミよりも社会性が高い傾向があります。犬は人間と強い絆を持ち、人間の指示に従うことができます。一方、オオカミは群れのリーダーに忠実ですが、人間との絆は弱い傾向があります。

好奇心
犬はオオカミよりも好奇心が強い傾向があります。犬は新しいものや環境に興味を示し、積極的に探索します。一方、オオカミは警戒心が強く、新しいものや環境を警戒する傾向があります。

 

4.犬とオオカミの分岐

4.1.東アジアで約1万5千年前

犬とオオカミは、約1万5千年前に東アジアで分岐したと考えられており、その理由は、人間との共生によって、犬はオオカミとは異なる形態や行動、遺伝子へと進化したためと考えられています。

4.2 犬の進化

犬は、人間との共生によって、さまざまな品種へと進化してきました。犬の品種は、その用途や地域によって、さまざまな特徴を持っています。例えば、猟犬は獲物を追いかけるのに適した体格や嗅覚を持っています。また、牧羊犬は羊の群れを管理するのに適した体格や知能を持っています。

 

5.凶暴性がなくなり人間との共生が可能に

 

多様な品種

約3万5000~1万2000年前、犬が人間と同じ墓に埋葬されているのが見つかっているため、この頃には人間に飼われていたことが窺えます。

犬が人間に家畜化されるきっかけは、人間の居住地近くで生活すれば人間の残り物を食糧として得られる、危険を伴う狩りをしなくて済む、そのような理由から徐々に人との距離が縮まり、オオカミの凶暴性が少しずつ無くなっていき家畜化していったと考えられています。

このように、犬は人間との共生によって、さまざまな形態や行動へと進化してきた、人間にとって最も身近な動物と言えるでしょう。

 

6.オオカミから家族の一員となり欠かせない生き物になった

餌をもらう幸せなワンちゃん

犬は私たちの家族の一員として多くの人に愛され、親しまれるようになりました。
そればかりではなく、犬は非常に多くの場で活躍をしており、私たち人間の生活に欠かせない存在となっています。

たとえば、身体障害者補助犬(盲導犬・聴導犬・介助犬)、警察犬、山岳救助犬 、麻薬探知犬などがいます。

犬は私たち一般家庭の中で愛玩動物として愛されているばかりでなく、お仕事を通じても人間社会に深く溶け込み、欠かせない生き物になりました。

これからもずっと、犬と人間が、お互い楽しく暮らしていける社会でありたいですね。