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猫に利き手はある?研究結果や愛猫の利き手を知る方法を紹介

猫にも利き手があることをご存知でしょうか?私たち人間には右利き、左利き、もしくは両利きが存在するように、実は猫も左右の前足に「利き手」が存在するのです。

猫の利き手に関する研究はまだ発展途上ですが、最近の研究によれば、猫が遊んだり物を掴んだりするとき、片方の前足を頻繁に使う傾向が見られることがわかっています。日常の行動や遊びの中で、どちらの前足をよく使うかを観察することで、その猫の利き手を見つけることができます。

さらに、利き手は猫の性格や脳の働きとも関係しているとされ、猫の行動や感情についての理解を深める手がかりになるかもしれません。

この記事では、猫の利き手についての興味深い事実や、それが猫の生活にどのような影響を与えているのかを掘り下げていきます。

 

1.猫にも利き手がある!?

利き手とは左右のうち、より多く使う手のことです。私たちヒトでは約90%が右利きであることが解っています。利き手のメカニズムについて明確なエビテンスはありませんが、脳の運動に深い関係があり、右手は左脳から、左手は右脳から指示が出ていると考えられます。ほかにも、利き手は女性ホルモンに関連するとの説もあります。

そんな話を聞いてしまったら、愛猫家であれば、愛猫にも利き手があるのか気になるのではないでしょうか。
猫の利き手については、アイルランドのデボラ・ウェルズ博士のチームが研究した学術誌「アニマル・ビヘイビヤー」に興味のある研究結果が報告されています。

研究内容は、避妊・去勢手術済みの猫44匹(オス24匹、メス20匹)を、飼い主が3カ月間利き手についての観察を記録するといったものです。観察項目は、寝る時、階段を降りる時、物をまたぐ時の3つの状況で、左右のどちらの手(前足)を優先的に使うか(寝る時はどちらを下に向けるか)に加え、キャットタワーにある穴の中に餌を置き、取る時どちらの手を先に穴に入れるかといった観察も行われました。

結果は、寝転がる際にどちらを下にするかで利き手の有無は見られませんでした。しかし、階段を昇り降りする際70%の猫に利き手があり、トイレでは66%の猫に利き手があることが分かりました。

 

ほかにも、NHKが行った「動物の利き手大調査」(みんなで解決!子供科学電話相談)の中間結果によると、猫78匹のうち左利きが35%、右利きが32%、利き手なしが33%といった結果でした。
このことから、研究を行った麻布大学教授の菊水健史氏は、猫には利き手があると考察しています。

猫の利き手分布

 

2.オスとメスで利き手が異なる場合が多い

デボラ・ウェルズ博士の実験では、オス猫とメス猫でも利き手に違いがあると発表しており、オス猫は左手、メス猫は右手を利き手に使う傾向にあると明らかにしました。

さらに、菊水氏の研究結果(中間)においては、オス猫は左利きが48%、右利きが21%、利き手なしが33%に対し、メス猫は右利きが39%、左利きが27%、利き手なしが34%といった結果でした。

オスメス利き手分布

双方の研究結果から、オス猫は左利き、メス猫は右利きが多い傾向にあるようです。私たちヒトでは性別で利き手に違いはないため、この結果は非常に興味深く驚きです。

 

3.ほかの動物にも利き手はあるの?

猫に利き手があることは分かりましたが、ほかの動物に利き手はあるのでしょうか。菊水氏が行った猫以外の動物の利き手の調査結果は、以下の通りです。

• ヒト       :右利き90%
• 犬        :右利き51%
• インコ      :左利き52%
• レッサーパンダ  :左利き53%
• ジャイアントパンダ:左利き43%
• チンパンジー   :左利き46%
• ゴリラ      :右利き59%

 

この研究結果から、ヒトや猫以外の多くの動物にも利き手があることが分かり、どちらを利き手とするかも動物によって違いがあることが判明しました。

同じ霊長類でも、ヒトとゴリラは右利きが多いのに対し、チンパンジーは左利きが多いという結果には驚きです。また、インコなど哺乳類以外の生き物にも利き手があることも衝撃的です。

 

4.利き手は猫の性格でも変わる!?

取ろうとする猫

 

ウェルズ博士が過去に行った犬の利き手に関する研究結果では、左利きと両利きの犬は右利きの犬に比べ怖がりでストレスを感じやすい傾向があるという結果が報告されています。ウェルズ博士は、猫にもこの結果は同様で、利き手は猫の感情や世話をするうえで大いに役に立つと考えています。

さらに、この研究結果には以下の詳細も掲載されています。

• 利き手のある猫:積極的、自信がある、愛情深い、活動的、気が強い
• 両利きの猫  :消極的、気質(愛情、従順、友好的)が低い、攻撃性が高い、神経質

 

愛猫の利き手を把握すれば、愛猫に合わせた飼育方法をある程度知ることができます。特に保護猫など人間に不信感を抱く子に至っては、円滑なコミュニケーションを取ることに有効であると考えられます。

愛猫の利き手は、どうやったら把握できるのでしょう。ここからは、愛猫の利き手を知る方法をご紹介します。

 

5.愛猫の利き手を知る方法

ボールで遊ぶ猫

猫には利き手のある子が多く、利き手の有無によって性格が異なることが分かりました。愛猫家であれば、気になるのが我が子に利き手はあるのか、ある場合どちらが利き手なのかということですよね。そこでここでは、愛猫の利き手を知る方法を紹介します。

以下では、ウェルズ博士の実験を元に愛猫の利き手を知る方法を紹介します。

• 瓶や穴など手を入れなければ取れない場所にお気に入りのおやつやおもちゃを入れて猫に見せ、どちらの手を先に入れるか観察する(猫が学習しないように容器を変えながら観察する)
• トイレに入る時に先に出す足を観察する
• 階段の昇り降りをする際、どちらの足を先に出すか観察する
• 日頃の生活から、何かをする際どちらの足を優先的に使うか観察する
• 観察結果を記録する

実験をはじめる前に前提として、愛猫の性別やある程度の性格を把握しておきましょう。日常のあらゆる場面で、利き手がある場合同じ手を優先的に使う傾向にあります。一番分かりやすい方法が、おやつやおもちゃに手を出す時です。

おやつやおもちゃを愛猫に見せ、手を入れないと取れない穴や瓶などに入れます。愛猫が取ろうとした際、はじめに出した足を利き手とカウントします。しかし、1回だけでは分からないため、最低でも1カ月間、毎日もしくは数日おきに観察し、結果を記録しましょう。
ウェルズ博士の実験では、1日10回を1日おきに100回行いました。しかし、一般的にこれだけの数や日数行うのは難しいので、日頃から観察する癖をつけるとよいでしょう。

おやつやおもちゃのほかにも、トイレに入る時や階段を昇り降りする際に先に出す足を観察することは、日常生活の中で容易です。また、愛猫が片方の前足を使う仕草をするような遊びを一緒にしてみると、日頃のスキンシップ向上もとれるためおすすめです。

観察を続けることで、愛猫が左利きなのか右利きなのか、両利きなのかがある程度把握することができるはずです。

また、愛猫の利き手をウェルズ博士の研究結果と照らし合わせてみましょう。必ずしも一致するとは限りませんが、利き手から愛猫の性格をある程度知ることができます。愛猫の利き手から判断できた性格から、飼い主さんは今後愛猫とどのような接し方をするべきか、今一度見直してみるのもよいでしょう。

 

6.猫にも利き手があった

• 明確なエビデンスはないが、猫にも利き手があると推測される
• 利き手には脳の運動関係や女性ホルモンによって異なると考えられる
• オス猫は左利き、メス猫は右利きが多い
• 利き手によって性格にも違いがあり、利き手のある猫はない猫に比べ積極的、自信がある、愛情深い、活動的、気が強いという特徴がある
• 愛猫の利き手を知るには、おやつを取る、トイレに入る、階段の昇り降りをする際などに先に出す方の手を記録する(先に出す方の手が利き手になる)。

研究の結果、猫にも利き手があり、オスとメスで利き手が異なることが分かりました。また、利き手のあるなしで性格にも違いがあると考えられます。
利き手に関する明確なエビテンスはありませんが、脳の運動や女性ホルモンなどで利き手が決まるという考えが濃厚です。

愛猫家さんは是非この記事を参考にして、ご自身の愛猫の利き手を見つけてみてください。